2007.9月 

改正雇用保険法  10月1日施行のPOINT!

昭和22年に制定された失業保険法(昭和22年法律第146号)に代わり、昭和49年に制定された法律、「雇用保険法」。


雇用保険について、失業したとき、雇用継続中の困難事由(育児・介護等)が生じたとき、教育訓練を受けたとき等、必要な給付を行うことで、「労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ること」(第1条)を目的として制定された法律です。


H15年3月頃失業率の悪化に伴い、雇用保険法制度創設以来最も厳しい財政状況に直面し、H15年5月に給付及び負担の改正が実施されました。その後の失業率改善により、今年4月には雇用保険料率が引き下げられました。そして10月1日には、改正雇用保険法(4月23日公布)の施行が予定されています。


【改正のPOINT】

1 被保険者資格区分および受給資格要件の一本化
2 育児休業給付金の改正
3 教育訓練給付金の要件・内容の見直し
4 特例一時金の減額


1 被保険者資格区分および受給資格要件の一本化

1,被保険者区分の一本化
現行)
  
一般被保険者
    ア・・・短時間労働被保険者(短時間被保険者)      
    イ・・・短時間労働被保険者以外の被保険者(一般被保険者)
  
高年齢継続被保険者
    ア・・・短時間労働被保険者(短時間被保険者)      
    イ・・・短時間労働被保険者以外の被保険者(一般被保険者)
  
短期雇用特例被保険者
日雇労働被保険者

改正)
 
一般被保険者
高年齢継続被保険者
短期雇用特例被保険者
日雇労働被保険者

*「労働時間」に違いによる、アおよびイの区分が一本化


2,受給資格要件の一本化

イ 被保険者期間の統一
ロ 賃金支払い基礎日数の統一
ハ 特定受給資格者に対する要件緩和


【基本手当受給のために求められる被保険者期間および支払い基礎日数】

離職理由

現 行

改正後

被保険者区分

被保険者期間

支払基礎日数

被保険者期間

支払基礎日数

自己都合

一般被保険者

離職以前1年間に6ヶ月

14日以上

離職以前2年間に12ヶ月

11日以上

短時間被保険者

離職以前2年間に12ヶ月

11日以上

解雇

倒産等

一般被保険者

離職以前1年間に6ヶ月

14日以上

離職以前1年間に6ヶ月

11日以上

短時間被保険者

離職以前2年間に12ヶ月

11日以上

*H19年7月23日に厚生労働省HPにおいて、「特定受給資格者の範囲の概要」という資料が公表されています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/hanni.html



2 育児休業給付金の改正

雇用保険の育児休業給付制度

【育児休業基本給付金】

「支給日数」×「休業開始時賃金日額」×30%

【育児休業者職場復帰給付金】

「基本給付金を受けることのできる支給日数の合計」×「休業開始時賃金日額」×「給付率」

1,職場復帰給付金の給付率引き上げ* 職場復帰給付金(一時金)給付率増 
10% → 20%(H22年までの暫定措置)

2,基本手当の所定給付日数の算定基礎期間との調整
* 基本給付金を受けた期間は、雇用保険の算定基礎期間から除外。
(H19.10.1以降育児休業開始者が対象)


3 教育訓練給付金の要件・内容の見直し


教育訓練給付金:厚生労働大臣指定の教育訓練を受講・修了した場合に支給。

受講開始日

H19.9.30以前

H19.10.1以降

支給要件期間

支給割合

上限額

支給割合

上限額

1年以上3年未満(*)

20%

10万円

3年以上5年未満

20%

10万円

5年以上

40%

20万円

(*)初回受給のみ


4 特例一時金の減額

特例一時金:被保険者種類のうち、 険短期雇用特例被保者 に支給される給付金。
短期雇用特例被保険者とは、「季節的に雇用される者」「短期の雇用に就く事を常態とする者」であり、当被保険者が、意思および能力があるにもかかわらず職業に就く事ができないときに支給されます。
【現行】離職以前1年間に被保険者期間6ヶ月以上・・・50日分(基本手当日額)
【改正】離職以前1年間に被保険者期間6ヶ月以上・・・30日分(暫定40日分)
                        (H19.10.1以降離職者対象)

今回の改正に伴い、実務への影響もあります。
例えば、『「2 育児休業給付金の改正」2,基本手当の所定給付日数の算定基礎期間との調整』では、改正により育児休業取得者が、将来離職等で「基本手当」を受給する時に、所定給付日数が少なくなる可能性があります。

トラブル防止の観点からも、十分な説明が求められます。